WAGE★スターズ!わげ★すたーず!

(左から、代表 渡部 雅人さん、副代表 庄司 大寛さん)

この地域では、若者たちを方言で「わげずたず」と言います。 金山町の「わげすたず」が集まり、地域で“何か”をしようという目的で結成。 以来、町と人と関わり小さな事から活動を続け、11年積み上げてきた功績が平成24年度「やまがた若者大賞」受賞へと繋がりました。 そして、これからの「wageスターズ」について、現在、代表を務める渡部さんと、副代表の庄司さんにお話をお伺いしました。

―“wageスターズ” 結成のキッカケを教えてください。

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渡部:
“とりあえず、若者が地元(金山町)に残っているのであれば、何かすねんね、楽しいことをすねんねべ”みたいな事からだったと思います。それで先輩方がwageスターズを立ち上げました。
庄司:
まずは軽い気持ちで歳の近い人たちを集めて、はじまったのがキッカケですね。 その時はもちろん、自分たちはまだwageスターズにはいないし、自分たちが小学生か中学生ころだったと思います。

―wageスターズに入ったのは、何がキッカケですか?

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渡部:
自分は高校を卒業してから専門学校に3年間行って、金山に戻って来たときに同じ部落の先輩から「wageスターズしないか?」と誘われました。それが4、5年前ですね。
庄司:
高校を卒業して地元で4年間仕事をしたあと、しばらく金山町から離れて仕事をしていました。それで戻ってきたときに、まずは消防団に入るように誘われて、その消防団にwageスターズをしていた先輩がいて、4年前ぐらいに入りました。
渡部:
俺もまずは消防団に入ったんですね。消防団で良くしてくださる先輩から「wageスターズってあるんだけど、今度イベントするからちょっと手伝って」って。wageスターズの先輩と乾杯すると勝手に入部したことになるので「おめ、入ったわな」って(笑)。

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庄司:
ハハハハハハ(笑) 俺も同じ感じですね。いつもバーベキューをしているところがあって、そこに誘ってもらいました。それまでwageスターズのことは全然知らなかったですから「とりあえず誘ってもらったし、バーベキューに行ってみっか……」みたいな感じで。そんなに知ってる人も居ないのかなと思って行ったら、大体知ってる人ばっかりで、それで乾杯したら、もう友達でしょって(笑)。そこからちょこちょこ集まりに出るようになりましたね。 最初は町をどうしたいとかが全然なかったので、ただ楽しいところに入っていったという感じでした。ただ漠然と若者たちが集まるから行ってみようかなみたいな。集まりに行くことが楽しくなっていたので。

―漠然とした気持ちの中で若者たちが集まり、wageスターズの活動が11年も続いた理由は何だと思いますか?

渡部:
それは多分ですね……。町のためよりは、自分たちが楽しくすっぺ!!みたいな気持ちがあるからかなと思います。それで、美味しく酒を飲むために何がすねんねと(笑)。
庄司:
“何がすねんね”って思ったのは、wageスターズに入ってから徐々にそういう気持ちが芽生えてきた感じですね。最初は飲み会だけでもいいやみたいな感じだったのが、先輩方や仲間と一緒にボランティア活動とか何かをして、そのあとにみんなで一緒に飲む酒と、何もしない時の酒と比べて、何かをしたときの方が断然美味しかったので、それが最初のキッカケですね。

―一人では出来ないことも、wageスターズに入っていたからこそ出来たことがあったのでは?

渡部
wageスターズに入っていなければ、何かをしたいとも思わなかったかもしれないですね、たぶん(笑)。だから、他の人たちには出来ない経験をさせてもらっていると思います。
庄司:
wageスターズが無いと、他の年代の方々と一緒に何かをすることは無かったですね。大体、知り合うとすれば、同じ学校の人とかしかないじゃないですか?でもwageスターズでは3つ4つ下とか、10年上の方や10年下の人たちとも関わる機会があり、そこで輪が広がっていくんですよね。それが、楽しいのもあります。

―イベントの企画するときの発案の元となるものは何でしょう?

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渡部
wageスターズは先輩方から受け継がれてきたことをしています。 6月のグリーン市や中央公民館のお祭りではたこ焼きを焼いたり、10月にバーベキュー、12月は出張サンタをしたりというのも昔からやっていることで、新しいことを始めるのもなかなか難しいかなと思っています。今、若い人たちが地元に居なくなってきましたからね……。
庄司:
今、自分たちより下の年代の人が居なくなってきて、入っていても仕事で来れなかったりするので、昔からあるイベントを少しずつ変えながらしています。 例えば、金山・米の娘ぶたというのが出来たときに、食べたことがない人も多いだろうということで米の娘ぶたを知ってもらうために、以前からあった「浴衣で生ビール」というイベントと合わせて開催したりという工夫はしています。何か新しいことと言うと、今は模索中。前に少しずつ進んでいるとは思うんですが現状維持ですね。

―活動をしていく段階で、大事にしている気持ちがないと出来ないこともあると思うのですか?

庄司:
例えば、出張サンタであれば子供たちを喜ばせたいとか、そういう気持ちを持ってメンバーが動いてくれていると思うんですが、飲み会なら付き合いだから行くという人もいるとは思います。でも、イベントや飲み会に来て楽しんでもらって、それがキッカケでwageスターズに入ってくれることもあるので、やっぱり町の若い人たちを盛り上げたいという気持ちがまず大前提にあって動いていますね。細かいところは考えていないですが、大きいところはそういうことです。

―何か活動を起こせば、楽しいこと、大変だったこと、様々あると思うのですが。

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庄司:
出張サンタをしていると、子供たちから手紙をもらったりして。それを読むと、涙が出てきたりするんですよ「サンタさん、ありがとう」みたいな。手紙をもらったり声をかけてもらうのが嬉しくて、これを自分の子供が生まれたときにしてあげられたら、楽しいだろうなという気持ちでやっています。 そして、そういう輪が広がってくると町の人たちが覚えてくれて、おじいちゃん、おばあちゃんとかが車ですれ違うと、手を振って声を掛けてくれたりするのも嬉しいですし、みんなに顔を覚えてもらえるのが楽しいですね。それがキッカケで広がる輪もあるだろうし。
渡部
あと、wageスターズは余興団体をやっておりまして、wageスターズのメンバーが誰か結婚するっていうと、本気でかかって余興をするんです。1ヶ月前から週2、3回、酒も飲まずにいい大人が集まって練習をするんです。 つい数ヶ月前にも結婚式で余興をやらせてもらったんですが、その余興の反響が良すぎて、知らないじさま、ばさまたちから、めちゃくちゃ褒められたっていういい思い出があります(笑)。 「さすが金山だな」って言われて、そういう”バガくせ”ところがいいのかなとも思っています。いい大人が家庭を犠牲にして変な踊りを踊るっていう(笑)。そういう”バガくせ”大人たちがいてくれるから、みんな楽しく上手い具合にまわっているのかなっていう感じですかね。

―町と関わる活動の楽しさがある反面、見えてきた課題はありますか?

庄司:
やっぱり年々若者が少なくなってきていて、手伝ってくれる人がいないんですよ。 今の若い世代は、みんなで集まるのが恥ずかしいというのかな……。照れて出てこないのか、1人がいいのか、ちょっと分からなくてもどかしい気持ちがあります。でも、やれば絶対楽しいんですよ。wageスターズに参加してもらえば分かると思うんですが……強制は出来ないですからね。 だから、今の若い人たち、小学生、中学生でもいいし高校生でも、そういう世代からまずwageスターズを知ってもらいたいと思っています。今の年代で一旦終わったとしても、そういう年代の人たちがまたwageスターズを続けてもらえればいいかなとも思っていて、自分が40歳、50歳になった時に「また、wageスターズ始まったな。んじゃ、遊びに行ってみっか!」みたいな感じになればいいかなと。隙間産業じゃないですけど、細々と続いていければ別にいいのではないかなと思います。いずれにしても、今の世代の人たちが、町や色んなことに関心を持たないことに憤りを感じていますね。

―それは、今のwageスターズより、知名度をあげ大きくしていきたいということでしょうか?

庄司:
wageスターズは、あまり大きなイベントはしてないですし、外向きに大きく活動をしている訳でもありません。自分たちの出来る範囲で、細々と人の隙間をぬうような活動をしてきたので、大きくなることも全然構わないんですけど、現状を見るとめいっぱいなので……今後、大きくなってくれればいいですね。

―その弾みとして”平成24年度 やまがた若者大賞”を受賞されましたが、今の気持ちは?

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渡部
受賞された3団体の中で、他の団体は設立から4、5年だということを聞いて、wageスターズは11年続けてこられての受賞でしたから、その年数に素直に「スゴイな」と思いました。 先輩方が10年以上も続けてこられたのは、小さな町でコミュニティが強いからなのか、良い意味で”バガくせ”ことを楽しんでくれて、若者と仲良くしてくださる大人がいたからなんだろうなと思っています。wageスターズ歴代の先輩方も、自分たちがイベントをするときには手伝いに来てくださったり、アドバイスを下さったり、お金を払って参加をしてくれたりするので、そういう意味では「wageスターズすげぇな」って思いましたね、自分で(笑)。 それはたぶん、細々とやっているから続けてこられたと思うんです。対外的に大きくしてしまうと、ははばげてしまう部分があると思うので、(ハバげる=物事を進める上で、つっかえてしまうこと)出来る範囲で、皆さんがそれぞれの形でやってくれたから、wageスターズの今があるのかなと思いますね。

―wageスターズの先輩方からは、どんな声がありますか?

庄司:
出来れば「出張サンタだけは続けてくれ」って言われますね。たぶん、最初にはじめたイベントで、先輩方の思い入れがあって言ってくださるんだと思います。実際に自分たちがやって、数ある中でも思い入れはあるイベントですから、これだけは無くしたくないですね。
渡部
昔、今の自分たちのように「サンタ」をして、結婚して子供が生まれて、今度その方のところに自分たちが行くわけですよ。そうすると、そのお父さんが涙ぐむぐらい嬉しいみたいで、やっぱり、逆の立場になってみると感動があるみたいですね。
庄司:
自分たちも子供が出来たら、気持ちが分かると思うんですけども。

―そして、今や今後を繋ぐうえで、若い世代へ伝えたいことがあるとすれば、どんなことですか?

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庄司:
自分も最初、wageスターズや消防に入るときは臆劫でしたから。そこの億劫なところから一歩踏み込むと、楽しい世界が広がったんです。まずは……気軽に参加してけろですね、まずは。 みんないい人なので、楽しんで一緒に何かしようよという感じなので、構えずに気軽に第一歩ですね。それが本当の金山町民になるための第一歩ですね。
渡部
まずwageスターズって名前だけ聞いても、何をしているかが分からないと思うし、名前は知っていても、何をしているか分からないという人もかなりいると思うんです。言葉で説明しても理解してもらえないこともあると思うので、ボランティアというくくりでもないし、自分もよく分かっていないので(笑)今いるメンバーの若い世代に、興味がある人に声がけをしてもらって、繋がっていければいいですね。 実際に、今いるメンバーで積極的に参加してくれるのはUターンの人で、地元である金山町に戻ってきた人が多いので、一度町を離れてみて客観的に見て”やっぱり金山町のここが良いんだな”って思ったりして帰ってきた方もいるので、そういう考えがある人たちです。
庄司:
金山町を出なくてもいいから、まず客観的に考えてみることも大事なことだと思いますね。それで、一人でやろうとしても出来ないことを、wageスターズで実現していくこと、決して大きなことでなくてもいいから。だから、何かしようとして一人で考えている人がいれば、wageスターズを使ってもらえればいいし、声を掛けてもらえればいい。使い勝手のいい若者がwageスターズですから。
渡部
何でも屋さんですからね。
庄司:
除雪もやろうと思えば出来るんですが業者さんもいるわけで、そういう意味での隙間産業ということもあります。「サンタ」も言ってしまえば、別にやらなくてもいいことなんです。でも、やれば喜んでくれる人たちがいるし、自分も子供が出来た時に、まだ続いていて自分の子供にもやってもらえればいいなという夢もありますしね。 あとはやっぱり、女性にも加入してもらいたいですね。毎回、男だけで集まっていても、華がないですからね。

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渡部
いやいや、俺は男だけでも大好きなんですよ。楽しいっすよ(笑)。

 

 

 

 

 

金山町というコミュニティの中にいる若者は、若いからで楽しいわけではない。
「出来る範囲で何かをみつけ楽しむことを、気張らないから続けてこられた」と語る2人。
若者が若者らしく楽しむことが、町を明るく照らすのだろう。